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感想文

本や映画や、いろんなことの感想文を書いています。

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ジョージ朝倉『溺れるナイフ』を読んだ!!【ネタバレあり】

 

先日この記事を書いて

 

nemurenai-same.hatenadiary.jp

 

漫画をもう1度読み直して、ちゃんと感想書きたくなったので、書くことにしました。

ネタバレしながら書きます。

知りたくない方はお戻りを~。

 

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この漫画は、夏芽がコウの住む街に転校してきた小6(12歳)のころから、コウは地元の高校に進学し、夏芽は東京で高校に通いながら芸能活動をしている18歳までの、7年間を描いています。全17巻。

 

いろんなレビューを読むと、中だるみするって感想も多いけど、私はそうは思わない。

中だるみって感じるくらい丁寧に描いてるからこそ、神がかったコウの存在も、リアルなものとして感じられるんだと思う。

 

 

コウは少女漫画のヒーローからはおよそ外れた破天荒。

少女漫画の不良って『突っ張ってるけど子猫を助ける本当は優しい男子』っていうのが定番だけど、コウはその枠にはハマらない。

 

誰彼構わず集団リンチするし、幼馴染が自分の仲間にリンチされていても止めないし、性暴力のトラウマに苦しむ夏芽のことをレイプまがいに犯すし、写真をばらまくといって脅すし、自分に好意を寄せてる女子を騙して友人に売ったりもする。

 

漫画の中でもコウの暴力の描写はけっこう酷くて、私はそういうの苦手だから、そのページはパラパラ読み飛ばし。

 

って、ここまで書いただけでも、この漫画が少女漫画だなんて思えなくないですか?

 

コウの言動は本当に非人道的で、その裏にどんな寂しさやどんな宿命があろうとも許容できる範疇を超えてるし、普通にドン引きだし、ヒーローとしてはナシだし、でもそれなのに、そんなコウに、夏芽も、カナも、大友も、そして漫画を読んでる私自身も、惹きつけられてしまう。漫画を一気読みしてしまう。

 

夏芽とコウは当たり前のように惹かれあい、当たり前のように付き合いはじめ、それはもう青春の甘酸っぱさ満開だったんだけど、夜祭の日、夏芽は暴漢に襲われてしまう。コウは助けに向かうんだけど、どんなに強いといっても、まだ13歳の子供。暴漢に殴られ首を絞められ、ボロボロのところを駆け付けた大人に助けられる。

 

神さまみたいに思っていたコウが助けてくれなかった、助けてくれるって信じてたコウが助けてくれなかった・・・夏芽はそんな風にコウのことを思ってしまうようになり、また性暴力のトラウマに苦しみ、コウの手を払いのけてしまう。

 

コウもまた、自分が助けられなかったせいで夏芽が苦しんでる、夏芽が自分に幻滅している、助けられたはずなのに・・・という思いに囚われ、2人は破局。

 

同じ苦しみのどん底に落とされ、でもそれでも這い上がろうとする夏芽、周りから手を差し伸べられ、光の中に戻っていく夏芽に対し、コウは生まれ持った宿命にがんじがらめにされ、暴力に依存し、堕ちていく。

 

短い期間だけどね、夏芽は、コウの大親友の大友と想いを通わせて付き合うの。

大友めっちゃいいやつで、大友と付き合ってるときの夏芽はめちゃめちゃめちゃ幸せなんだよ。読んでても、夏芽はコウじゃなくて大友との方が絶対に合ってるって思うし、夏芽自身、大友と過ごした時間は、別れてからもずっと、一生、心の支えになってる。

 

『大友は私の初日の出』

 

 

それを壊したのはコウ。

脅して、犯して、壊した。

 

 

そしてこの漫画のもう1人の主人公はカナ。

あか抜けないカナはコウの幼馴染で、コウにずっと思いを寄せてたんだけど、夏芽が現れ、神聖で特別なコウと釣り合うのは夏芽しかいないと思う。

カナは、夏芽に嫉妬しながらも、2人に憧れ、2人の幸せを望みながらも嫉妬し、それでも圧倒的に綺麗で可愛い夏芽のことは大好きで、早瀬たち女子が夏芽に意地悪したときも1人夏芽の味方でいたし、事件後、みんなが夏芽を避けてたときも、カナだけは裏切らなかった。

 

カナちゃん、ほんといい子なんだよ~。

 

夏芽がコウから離れてた時期も、ずっとコウから離れなかったのはカナ。

コウはどう思ったのか、そんなカナを騙して売り飛ばす。

それでも自分から離れないカナを、コウはやっぱりいつしか拠り所にするんだなぁ。

夏芽とコウが強烈に惹かれあってるのを知りながら、それでも夏芽に対してほんの少し持てた優越感。

 

『夏芽ちゃん、コウちゃんに会いとうなったら、言うて』

 

『キレイじゃねぇ ほんま

変なファンにいたずらされてしもうても キレイなんじゃのう』

 

『ウチなぁ いっぱいいっぱいあがいて

何度も何度も抜け出そうとしたんよ?

でもなぁ

どーーーーーしても

夏芽ちゃんになりとぉ気持ちが

べーーーーーったり

心の裏にへばりついちょるんよぉ

なのによぉ

こんなとても

たちうちできんウチによぉ

夏芽ちゃんが嫉妬むき出しの目ぇ向けてくるんが

ふふ・・・

おもしろうてのぅ』

 

 

そうそう、この漫画ね、『浮雲町』ってとこが舞台なんだけど、イメージ的には、東北の日本海側の小さな町って感じ。冷たくて暗く光る海が何度も出てくる。

で、東北弁?なのかなぁ?みんな、なまってるんだよ。

それがまた味があって色っぽい。

特にコウのセリフが生きてるのは、方言のせいだと思う。

 

『ずっと、ずっと見ちょるけぇ

俺の願いはよう おまえが

その武器で天下とることじゃあ』

 

『おまえはよう

俺の 衝撃じゃけぇの

初めて会うたときからずっと』

 

『どがぁこつあっても

おまえがなにをしようと

大人んなって立場が変わっても

俺は一生 おまえの味方じゃけぇ

好きに生きてよぉ

一生俺を ざわつかせてくれぇや!』

 

 

この漫画の世界観を、映画ではどこまで再現できるのかなぁ。

到底無理な気もするし、見てもガッカリするだけな気もするから

見たくない気持ちもある。

 

でも映画を見ていいなって少しでも思ったひとは

絶対漫画を読んでほしい!!

 

一生心に残る漫画。

読み返すたびに、登場人物に近づける漫画。

 

この記事には実は大事なネタバレは一切してません。

 だから漫画、読んでみて!!

 

めっちゃおすすめ!!

 

 

溺れるナイフ コミック 1-17巻セット (講談社コミックスフレンド B)

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ネタバレなしの記事はこっち。

 

nemurenai-same.hatenadiary.jp

  

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