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ドキュメンタリー映画『ビハインド・ザ・コーヴ』を見た

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今から7年前の2010年、和歌山県太地町のイルカ漁のことを描いたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞した。
  

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この映画は、アメリカの監督によるドキュメンタリー映画。

『反捕鯨』を訴える内容で、太地町のイルカ漁を批判する内容だ。
 
 
私はドキュメンタリー映画が好きなんだけれど、私の好きなドキュメンタリー映画はいつも必ず、ひとつのことがらを多角的にとらえていて、明確な正義も明確な悪も存在しないし、その事実を見てどう感じるかは、観客にゆだねられ、制作側のメッセージを感じさせない。
 
 
そういう意味では、『反捕鯨』というメッセージが込められている時点で、私にとって『ザ・コーヴ』はドキュメンタリー映画とはいえない作品。
たくさんの血が流れるイルカ漁の映像があるからか、PG-12指定。
 
 
『ザ・コーヴ』の公開をきっかけに、毎年イルカ漁の解禁の季節になると、太地町にはシーシェパードだけでなく、国内外の捕鯨反対の人たちが押し寄せ、あからさまな反捕鯨運動や漁の邪魔をするようになってしまっている現実がある。
 


そんな反捕鯨映画『コーヴ』に対抗してつくられたのが、ドキュメンタリー映画『ビハインド・ザ・コーヴ』。
『ザ・コーヴ』と違って、中立的な内容だという前評判で、期待していました。
 

 
 
 
以下、正直な感想文です。

 

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前半はとてもよかった。

確かに中立性が守られていました。

シーシェパードは、意地悪とかじゃなく、本当に価値観の相違から、イルカ漁に反対しているんだということ。

捕鯨は太地町の人たちにとっては本当に大切な伝統だということ。

ここまで反対活動がひどくなってしまったのは、反論をしない日本側にも非があるということ。

実際、踏ん張りどころでちゃんと反論したノルウェーなどは、その後、反対活動の対象になってないということ。
 
シーシェパード側を悪者にすることなく、双方の相容れない根本的な価値観の違いから生じている対立で、それに対し日本政府は言いなりになり、太地町の伝統を守ろうとしてこなかったことが、現状を招いた最大の原因だということが、交互に映し出される双方のインタビューから読み取れました。
 
映像の情報はあっちこっちにとび、ついていくのが大変で、もうちょっとわかりやすく編集できないものかなとは思ったけれど、それでも、理解しようと、座席から身を乗り出して見ていました。
 
 
ここでおわれば、この映画の印象はとてもよかったと思います。
 
 
なのに突然、雲行きが怪しくなった後半。
 
 
スクリーンに唐突に映し出された、原爆で全身焼けただれた人や、縄で縛られ目隠しをされて膝をつき、泣き叫ぶベトナムの少年。
  
大画面いっぱいに、長時間に渡り、何枚も何枚も映し出され続ける戦争の残酷写真。
 
私は、捕鯨問題を扱ったドキュメンタリー映画で、クジラやイルカの解体映像ならともかく、目を覆うような戦争の残虐映像を見せられるなんて思っていなかった。

それも1枚や2枚じゃなく、何枚も。
  
なぜここで、そんな何枚もの残酷写真を、大きなスクリーンいっぱい使って、長時間に観客に見せる必要性があるのか?

 

そして、アメリカ側が、日本に対して捕鯨反対を国をあげて主張するのは、第二次世界大戦での原爆投下や、ベトナム戦争での民間人虐殺など、自国の残酷行為から国民の目を背けさせるためという機密文書が見つかった?とか。

 

ちなみにこの部分は残虐映像が映し出されている間、字幕で説明されていたのだけど、私はとてもじゃないけどスクリーンを見続けることができなくて下を向いていたので、字幕は一切読めず、後からネットのレビュー記事を見て補完しました。

 

しかしこの内容には異論を唱える人も。

  


 
わたしにはどちらが真実かわかりませんが、たとえその極秘文書うんぬんが真実だったしても、大量の残酷画像を流さなくてもじゅうぶん説明できるのでは?
 
 
執拗に、強制的に残酷画像を見せつける演出。
私には、アメリカへの嫌悪感を植え付けるための洗脳のように感じました。
 
 
なんていうんだっけこういうの。

プロパガンダ?
 


プロパガンダ(羅・英: propaganda)は、特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った、宣伝行為である。
 

 

引用元:プロパガンダ - Wikipedia

 


そう!!プロパガンダ!!
 
 
 
前半がよかっただけに、後半の、反米思想に誘導するような演出に、心底白けてしまいました。
 
さらにエンディングでは、雄大なBGMが流れる中、捕鯨船に乗る漁師さんを英雄みたいに称える演出。そんな漁師さんに憧れる子供。

 

そして

『食べていい生き物、食べてはいけない食べ物、それを決めるのは自分自身』

と、反捕鯨の主張を完全に突っぱねた結論を出している。
 

 

これ全然中立じゃないでしょう。

おもいっきし捕鯨推進してるでしょう!!
  
 

前半50分だけ上映すればよかったのに。

 

さっきも書いたけど、ものごとって明確な正義と明確な悪なんて本当はなくて、それぞれにある背景や事情や立場が複雑に絡み合ってて、それを映し出すのが、私はドキュメンタリーの醍醐味だと思ってるんです。
 
 

明確に『反捕鯨』を主張する『ザ・コーヴ』。

『自分で食べるものは自分で決めていいじゃないか』と、それに反論する『ビハインド・ザ・コーヴ』。

 

『ザ・コーヴ』も『ビハインド・ザ・コーヴ』も、メッセージ性が強すぎて、ドキュメンタリー映画とは言えないと思う。


 
私は、捕鯨反対とか捕鯨賛成とか肉食反対とか、自分なりの答えをすでに持ってる人は、ドキュメンタリー映画の製作に向かないと思う。

それは去年、犬の殺処分問題を扱ったドキュメンタリー映画『犬に名前をつける日』を見たときにも感じたこと。

 

むしろ、答えを見いだせず、考え続けてる人にこそ、その混沌した世界を淡々と撮ってほしい。
 

 

 

今、上映されている太地の捕鯨問題を扱ったドキュメンタリー映画『おクジラさま』。

ビートたけしさんが『どっちつかずのいい映画』と評しているそう。

どんな風に見せてくれるのか。

近々、見に行ってみようと思います。

 

※この記事は、2016年8月に書いた記事のリライトです。記事を書いた当時は、わたしの未熟さから方々にご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。

 

 

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