感想文

本や映画やお店や食べ物や、いろんな感想をかいてます。

ドラマ原作漫画『僕たちがやりました』を読んだ。たぶんドラマより漫画の方が怖い。

スポンサーリンク

漫画『僕たちがやりました』

  

www.fujitv.co.jp

 

f:id:nemurenai-same:20180107230450j:plain

 

昨年ドラマ化してたんですね。

知らないで読みました。

途中、あまりにも気分が悪くなって、リアルで吐きそうになった。

 

酷い読後感に、この漫画ドラマ化したってどういうこと?!と思って、視聴者の感想が書いてあるサイトいってみたら、結末は原作とかなり変えたらしい。

 

やっぱ・・・そうだよね。

 

 

感想(ややネタバレあり)

 

この漫画の一番怖いところは、自分の犯した罪を償うことが叶わず、心の闇に固くふたをしたまま、『そこそこの幸せ』の中で生きていくこと。

だけど時々ふと、固く閉じたはずのふたから闇があふれ出し、その闇に飲まれてしまいそうになる。

 

 

これ。

この漫画の主人公に限らずみんなそうなんじゃないの?

わたしだけ?

 

この漫画は、きっと誰もがもつ心の闇のふたをこじあけにくる。

最悪の読後感だった。

 

 

原作漫画とドラマの違う点はまさにそこで、見た人の感想を読む限り、ドラマでは、主人公はちゃんと逮捕されて少年院に入り、法的に罪を償うことができたらしい。そして少年院から出たあとも、人並みの幸せをつかむことができず、孤独に、時々罪の意識に押しつぶされそうになりながら生きているらしい。

 

この結末は、主人公と視聴者をはっきりと『区別』するためのものだとわたしは思う。

 

少年院に行った主人公と、自分は『違う』

前科のせいで就職もままならない主人公と、自分は『違う』

犯した罪を償ってからも幻覚に苦しむ主人公と、自分は『違う』

 

ドラマを見てる人はきっと、主人公と自分は違うと思うことで、自分を守れたんじゃないかな。

 

 

だけど。

漫画の結末はそうじゃない。

主人公と読者は、なにひとつ『違わない』

 

主人公は法的に裁かれることもなく、罪をつぐなうこともなく、わたしたちと何も変わらない『一般人』として、『普通に就職』し『普通に結婚』し『普通に子どもができる』。わたしたちと同じ、ありふれた日常を生きている。

 

人を10人殺すという殺人を犯し、親友を欺いて追い詰め自殺においやり、そしてその罪を無実の他人にかぶせて自分は『そこそこの』幸せの中で生きる。

一方、家族の生活の保障と引き換えに主人公の犯した罪をかぶせられた無実のその人は、死刑となり10年後それは執行される。

 

 

主人公が『やりたいこと』をリストアップして、まずどれからやるかをあみだくじで決めるシーンがあるんだけど、10本以上あるあみだくじのゴールにはすべて『自首』と書かれていた。

 

背筋が凍った。

自分の心に閉じ込めていた闇があふれそうになって、吐きそうになった。

 

 

法的な罪の大きさは主人公とは違うけれど、誰もが、自首したくてもできない罪を心に閉じ込めて生きているんじゃないの?

違うの?

こんな気持ちになるのはわたしだけ?

 

10人殺して、親友を殺して、無実の人に罪を着せて殺した主人公と、自分との境界線をはっきりと引いてこの漫画を読める人が、いったい、どれくらいいるんだろう?

 

この感覚は、一昨年見たドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』の視聴後感と酷似している。

 

あの映画は、インドネシアで100万人の大量虐殺を犯した張本人に密着したものだった。映画の最後、その大量虐殺の実行犯が、自分の犯した罪を初めて意識し嗚咽するシーンでは、不快なことに、わたしはその実行犯に完全に感情移入していた。100万人の大量虐殺犯と、自分との間に、境界線などなかった。

 

 

 

まとめ

 

とにかくものすごく読後感の悪い漫画です。

読んでよかったなんてとても言えない。

できれば思い出したくない、封印していたい誰にも言えないここにも書けない過去を、強制的に引き出される。

 

その覚悟がある人は、読んでみてください。

そしてよかったら、感想をきかせてください。

 

 

 

 

ドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』もおすすめ?です。